USPTOのカウントシステムって?

米国実務

USPTOの審査官はUSPTOが定めるカウントシステムによって業績評価されています。カウントシステムについては以下の通りUSPTOのwebsiteにて公表されています。米国実務上、このカウントシステムを理解することが有益と思います。この記事ではカウントシステムのポイントについて説明したいと思います。

https://www.uspto.gov/sites/default/files/Examination%20Time%20and%20the%20Production%20System.pdf

要点

USPTOのカウントシステム(Production System)の特徴は以下の通りです。

  • 審査官は、従事する業務(アクション)毎に、それぞれのアクションに定められたカウントを得る。
  • 各審査官は、業務時間、審査官のランク、業務の難易度に基づき定められた、2週間の達成目標(ノルマ)がある。ノルマを達成しているか否かが業績評価に直結しており、毎年のボーナス額もこれにより決まる。

つまり審査官にとってはノルマを達成できるかどうかが重要ということです。逆に出願人側にとっては、審査官のノルマ達成という事情を踏まえた上での対応策が考えられます。

各論

以下、ポイントシステムの各論について説明したいと思います。

アクション毎のカウント

上述の通り、審査官のアクション毎にそれぞれポイントが定められています。具体的には審査官の各アクションに、それぞれ以下の通りカウントが設定されています。

  • 1st OA (First Office Action on the Merits(FAOM): 1.25 count
  • Final OA: 0.25 count
  • Disposal Action: 0.5 count

Disposal Actionとは、Notice of Allowance、Abandonment、AppealにおけるExaminer’s Answer、RCEのいずれかです。

例えば典型的なケースとして、ある出願に対してnon-Final OA(FAOM)を発行し、出願人の応答に対してFinal OAを発行し、Final OAに対する出願人の応答に対して許可通知を出す場合には、合計で1.25+0.25+0.5 = 2.0 countを審査官は得ることになります。1件の出願で得られるこの2.0 countを一単位として、1PU(Production Unit)と呼ばれてもいます。

また以下のアクションはカウントが付与されません。

  • Advisory Action
  • non-Final 2nd Action(2回目のnon-Final OA)

non-Final 2nd Actionは、1回目のnon-Final OAで通知すべきだった拒絶をしなかった場合に発行されるOAです。

ここで1回目のRCE後は、FAOMのcountが下がります。

  • 1st OA (First Office Action on the Merits(FAOM): 1.0 count
  • Final OA: 0.25 count
  • Disposal Action: 0.5 count

2回目のRCE後には、さらにFAOMのcountが下がります。(3回目のRCE以降は全部以下で同一カウントになります。)

  • 1st OA (First Office Action on the Merits(FAOM): 0.75 count
  • Final OA: 0.25 count
  • Disposal Action: 0.5 count

このように傾斜をかけたカウントにすることで、できる限り審査の早い段階(RCE前の段階)において、より審査官が注力して十分な審査がされるように促すことを狙っているとされています。

ノルマの設定

審査官のノルマは2週間毎に設定されており、以下の式で定められています。

ノルマ = (審査時間) × (Seniority Factor) × 2/ (技術的困難性)

審査時間

審査時間は以下の時間の合計です。

  • 審査関連業務
    • 出願の内容検討
    • クレーム分析
    • 先行文献調査
    • 先行文献の分析
    • 他審査官との相談
    • OAの起案
    • 出願人の応答に対応する対応
  • 事務的業務
    • Eメールのやり取り等

他方で以下は控除時間として審査時間から除かれてています。

  • 休日
  • 研修
  • 庁内会議
  • 審査官が追加時間を得るプログラム(AFCP2.0, QPIDS)

上記控除時間にAFCP2.0の追加時間が含まれているポイントです。AFCP2.0により3時間がノルマの計算からは除外されることになるため、FinalOAへの応答内容をより詳細に審査官に検討させることができます。

上述のように2週間毎にノルマが設定されるため、具体的な審査時間は以下の通りとなります。

80時間(8時間/日×10日) – 控除時間

Seniority Factor

Seniority Factorは、審査官のランクに基づく係数です。具体的には以下のように係数が定められています。審査官のランクは米国の公務員の年俸を定める指標General Schedule(GS)で規定されていています。

審査官のランク係数
GS-50.55
GS-070.7
GS-090.8
GS-110.9
GS-121.0
GS-131.1
GS-13 PSA1.25
GS-14 FSA1.35

余談ですがある審査官のランクに属するかは、Patent BotsのExaminer Statisticsにより確認することができます。

USPTO Patent Examiner Statistics
Use our patent examiner statistics to improve your prosecuti...

技術的困難性

技術的困難性は、技術分野(クラス)に応じて定められた値です。具体的には2 count(1PU)に相当する標準業務時間に相当します。以下が一例です。

  • 釣りのルアー関連: 16.6 hours/PU
  • 免疫療法: 25.9 hours/PU
  • 衛星通信: 27.7 hours/PU

具体例

例えば釣りのルアー関連(class 43)のGS-14の審査官の場合だとどうなるか見ていきましょう。当該審査官のノルマは以下の通りとなります。なおここでは審査時間を72時間としています。8時間が控除時間として引かれていることになります。

ノルマ = 72 x 1.35 / 16.6 = 11.8 counts

例えば審査官がこの2週間で、6件のFinal OA、4件の許可通知、6件の1st OA、2件のAdvisory Action、3件のAbandonmentをした場合には、審査官の獲得したカウントは以下の通りとなります。

Action獲得したカウント
Final OA 6件0.25 × 6 = 1.5
許可通知 4件0.5 x 4 = 2
1st OA 6件1.25 x 6 = 7.5
Advisory Action 2件0 x 2 = 0
Abandonment 3件0.5 x 3 = 1.5
合計12.5 counts

上記の例の場合、審査官のノルマ11.8に対して、それを上回る12.5countsを獲得しているため、ノルマをクリアしたことになります。

まとめ

以上、USPTOの審査官のカウントシステムについて解説しました。ここまで読んで頂きありがとうございます。

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