特許事務所や企業の知財部門で発明を発掘する業務に携わると、いかに効果的にアイデアを生み出し、それを特許出願に結びつけるかが重要になります。発明発掘のプロセスにはさまざまな手法がありますが、効率的かつ実用的なアイデアを得るためには、単なるブレインストーミングだけではなく、より戦略的なアプローチが求められます。本記事では、発明発掘の際に有効なポイントを紹介します。
ブレインストーミングを避ける
アイデア創出といえば、多くの人がまず思い浮かべるのが大人数でのブレインストーミングです。しかし、技術的なアイデアを議論し、特許として成立するレベルまで発展させるためには、単なる集団発想法は必ずしも最適ではありません。
むやみにブレインストーミングをしても、技術的に深みのあるアイデアには結びつきにくいことが多いです。それよりも、
- 個人でじっくりとアイデアを考え、深掘りする
- 適宜、信頼できる相手と壁打ち(フィードバックをもらう)をする
- 紙に書き出して、視覚的に整理する
といった方法を取る方が、より特許として価値のある発明を生み出す可能性が高くなります。
特に、アイデアを文章化することで、発明の本質が明確になりやすくなります。いきなり人と議論するよりも、まずは自分の中でしっかり考えた上で、他者の視点を交えてブラッシュアップすることが効果的です。
具体的な特許事例をベースに考える
すでに出願されている関連の特許事例を参考にすることは、アイデアを深く考えるのに非常に役立ちます。具体的には、
- 類似技術の特許を調査し、どのような課題が設定されているかを確認する
- その課題を解決するための技術手段がどのように記載されているかを分析する
- どこまで具体化・抽象化された発明が特許として成立しているのかを理解する
といった観点で特許を読むことで、自分のアイデアを特許に落とし込むためのヒントを得られます。
特許検索データベース(J-PlatPat、Google Patentsなど)を活用し、関連技術の特許を読んでおくことで、
- 新規性・進歩性を備えた発明にするための方向性を見極める
- 既存の特許と競合しないポイントを探る
といった作業がスムーズに進められます。特許を単に「読む」だけでなく、技術の流れやトレンドを把握するためのツールとして活用することが重要です。
「課題の視点」でアイデアを深掘りする
発明を生み出す際には、技術そのものよりも「解決すべき課題」を明確にすることが重要です。特許は単なる技術の羅列ではなく、
- どのような課題が存在するのか?
- なぜその課題を解決する必要があるのか?
- その課題を解決するための従来技術にはどのような限界があるのか?
といった流れで論理的に構成されます。
したがって、発明発掘の段階では、
- 現場の技術者や開発者から実際の課題をヒアリングする
- ユーザー目線での不便さを考察する
- 現状の技術的制約を整理し、どこにブレイクスルーの余地があるかを探る
といったアプローチが有効です。
「技術ありき」ではなく、「課題から発想する」ことで、より特許としての価値が高い発明を生み出せます。
技術的な差別化ポイントを明確にする
特許を出願する際には、新規性と進歩性を確保する必要があります。そのため、
- 従来技術との違いを明確にする
- 技術的な差別化要因を明示する
- 単なる改良ではなく、新たな技術的効果を示す
といったポイントを意識することが重要です。
発明発掘の段階で、技術的な差別化を明確にするために役立つのが、「技術比較表」の作成です。従来技術と自分のアイデアを比較し、
| 項目 | 従来技術 | 新技術(発明アイデア) |
|---|---|---|
| 解決する課題 | ○○の課題 | △△の課題 |
| 技術手段 | A方式 | B方式 |
| 効果 | ××の効果 | ○○の効果 |
といった形で整理すると、発明の独自性がより明確になります。
「出願できる発明」かどうかを意識する
発明を考える際に重要なのは、「出願可能な発明」であるかどうかです。技術的には新しくても、以下のような点に注意しないと、特許として成立しない場合があります。
- 単なるアイデアレベルではなく、具体的な技術的手段が伴っているか
- 技術の効果が明確であり、再現可能であるか
- ビジネス上の活用が見込めるか
「面白いアイデア」だけでは特許にはなりません。発明を特許に落とし込むためには、技術的な裏付けと具体化が不可欠です。
まとめ
発明発掘の業務では、
- ブレインストーミングに頼らず、個人での深掘りを重視する
- 関連特許を研究し、技術の流れを把握する
- 課題の視点から発明を発想する
- 技術的な差別化を明確にする
- 出願可能な発明かどうかを意識する
といったポイントを押さえることが重要です。
これらを意識しながら発明発掘を進めることで、より価値のある特許を生み出すことができるでしょう。


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