特許は企業にとってますます重要になってきており、企業で働くエンジニアですと開発に関わる特許をできるだけ出すよう、ノルマが課されることもあります。しかし特許出願はハードルが高く、どうやってアイデア検討したらよいかわからないということをよく耳にします。ここでは特許発明のアイデアを出すためのいくつかのアドバイスをご紹介します。以下のステップを順番に進めることで、アイデアをより具体化し、特許として保護する価値のあるものにすることができます。
技術的課題の特定
特許発明は、課題を解決するための新しい技術を提供するものです。まずは、ある特定の分野や業界において、改善や効率化の必要がある課題を特定しましょう。必要に応じて市場調査や業界のトレンド分析などを行い、現状の問題点を理解します。
分野・業界の選択
分野や業界の選択: 特許発明を考える分野や業界を選択します。自身の専門知識や興味を持つ分野を選ぶことが重要です。自身の経験やスキルを活かせる分野であれば、アイデアの出しやすさや実現可能性も高まります。
市場調査
選んだ分野や業界の現状を調査します。市場の需要やトレンド、競合他社の製品や技術、問題点などを分析します。これにより、改善や効率化が必要な領域や、未開拓のニーズが見つかる場合があります。
具体的な課題の特定
具体的な課題の特定: 市場調査の結果をもとに、問題点を特定します。既存の製品や技術の課題、ユーザーの不満やニーズ、業務プロセスの改善点などが問題として考えられます。具体的な課題を特定することで、それに対する解決策や改善案を考えることができます。
詳細化(深掘り)
特定した課題を詳細に分析し、その要因や影響範囲を理解します。問題の背後にある根本的な要素や制約事項、関連する要素などを考慮します。この段階で、問題の本質を把握することが重要です。
優先順位付け
特定した問題の中で、解決の優先順位を付けます。重要度や緊急度、市場の需要などを考慮して、アイデアを出すべき問題を選択します。優先順位が高い問題に取り組むことで、アイデアの付加価値や市場競争力を高めることができます。
アイデアの着想
技術的課題を特定したら、それを解決するためのアイデアを考えます。創造的な思考を活用し、異なる視点やアプローチを取り入れることが重要です。例えばブレインストーミングセッション、他の専門家とのディスカッションを通じて、多くのアイデアを出すことができます。これらのアイデアは、実現可能性や市場の需要を考慮しながら洗練させる必要があります。以下、アイデアの着想に役立つ具体的な手法を説明します。
マインドマップ
マインドマップは、アイデアを整理し、新たな関連性や視点を見つけるのに役立つツールです。中心テーマを中心に枝分かれさせ、関連するアイデアや概念を追加していきます。さらに、各アイデアから派生する新たなアイデアを探求していくことで、発想の幅を広げることができます。
アナロジー法
アナロジー法は、他の分野や事例からインスピレーションを得る手法です。類似の問題やテーマを持つ他の分野や業界を調査し、その解決策やアイデアを取り入れることで、新たな視点やアプローチが生まれるかもしれません。
逆転思考
逆転思考は、通常の思考パターンを逆転させる手法です。問題の逆の状況や目標を考え、それを達成するためにどのような逆のアプローチや解決策があるかを考えます。予想外のアイデアや非常に異なった視点が得られることがあります。
仮説思考
仮説思考は、アイデアを仮定や仮説として立て、それを検証する手法です。具体的な仮説を設定し、それを実験や調査を通じて検証することで、新たな発見やアイデアが生まれることがあります。
制約条件の設定
制約条件の設定: 時間、予算、リソースなどの制約条件を設定することで、アイデアの枠組みが明確化され、より創造的な解決策を見つけることができます。制約がある中でどのように問題を解決するかを考えることで、アイデアの質と効果を高めることができます。
先行調査
アイデアを詳細に検討するために、関連する技術及び特許についての調査を行いましょう。既存の特許及び技術には類似したものがないか、競合するものがないかを確認します。特許庁の特許データベース等を活用するのが一案です。特許の独自性は特許出願の重要な要素ですので、可能な限り網羅的な調査を行いましょう。
先行調査の対象となる文献
特許出願公報、科学論文、学術雑誌、カタログ、プレスリリースなど、さまざまな情報源から特許関連の文献を収集します。これらの文献は、同じ技術領域や関連する分野に関する既存の知識を提供するものです。出願日前に公に知られていないアイデアのみが特許による保護の対象のため、出願日前の関連文献を網羅しておくことが重要です。
特許データベースによる先行調査の方法
特に特許データベースによる先行調査がもっとも一般的で、日本の特許庁のデータベース(J Plat Pat https://www.j-platpat.inpit.go.jp)等がよく使われています。特許の発明内容やキーワードに基づいて検索クエリを作成し、関連する文献を特許データベースなどで検索します。検索結果から、発明の新規性や進歩性を評価するための文献を選択します。
特許出願
アイデアが独自性を持ち、特許として保護する価値があると判断した場合は、特許出願を行います。特許出願書類は、特許請求の範囲、特許明細書、図面、要約書です。これらを作成して特許庁に出願します。効率的な出願の進め方、特許事務所との効率的な連携方法については別記事で解説します。
まとめ
この記事では、特許発明のアイデアを出すためのいくつかのアドバイスをご紹介しました。今後の特許出願検討に役立つ情報、ヒント、気づきが提供できましたら幸いです。ここまで読んで頂きありがとうございました。
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