ソフトウェア特許の権利化成功事例(グーグル・マップ関連特許)

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はじめに

ここでは別記事(※)で解説したグーグル社のソフトウェア特許(US11448516B2)の中間処理の概要を解説します。最も有名なテック企業であるグーグル社がソフトウェア特許をどのように取得しているのか知っておくことは、ソフトウェア関連発明を取り扱う日本の弁理士等の知財実務家、ソフトウェア技術者にとって大変有益と考えられます。

特に本件は35 USC 101条の拒絶を受けた後、一度の応答でこの拒絶を解消して許可通知を得られています。101条の拒絶解消の成功事例を知ることは、米国出願する可能性のある出願の内容精査・明細書作成に役立つと考えられます。以下ポイントを解説したいと思います。

※別記事はこちら→知っておきたいソフトウェア特許(グーグル・マップ AI関連特許)

クレーム1に係る発明及び拒絶の概要

クレーム1に係る発明の概要

本特許は、学習モデルにより、スタート地点から目的地点までのルートから景観の良い経路案内をする技術です。クレームの主な要点は以下の4点です。

  • ロードセグメントの地図特徴データを入力として景観メトリックを出力する学習モデルを訓練する
  • 経路案内のリクエストを受けると、候補ルートのセットを特定する
  • 候補ルートのセットのロードセグメントの地図特徴データから景観メトリックを生成する
  • 景観メトリックに部分的に基づいてルートを決定し、このルートをクライアント装置に提示する

発明の詳しい内容については別記事をご参照下さい→知っておきたいソフトウェア特許(グーグル・マップ AI関連特許)

拒絶の概要

本件はクレーム1を含む全クレームが35 USC101により、特許保護適格性が無いとして拒絶されました。審査官はOAにて以下のように認定しています。

[T]he claimed invention is directed to a judicial exception(i.e., a law of nature, a natural phenomenon, or an abstract idea) without significantly more. The claimed invention is directed to the concept of providing/selecting scenic navigation routes for guiding a user. This judicial exception is not integrated into a practical application. The claim do not include additional elements that are sufficient to amount to significantly more than the judicial exception and do not integrate the abstract idea into a practical application because they does not impose any meaningful limits on practicing the abstract idea.

Non-final Office Action, dated 2022.03.07, at page 2

上記で引用した審査官の認定では以下の3つの審査官の判断が示されています。

  • クレーム発明は司法例外(”judicial exception”自然法則、自然現象、又は抽象的アイデア)を対象としている
  • クレーム発明の司法例外は実用的な応用(“a practical application”)に組み込まれていない
  • クレーム発明は司法例外を著しく超えたもの(”significantly more”)に相当する十分な追加の要素を含んでいない。

またこのOAは、2019年1月に発行されたUSPTOのガイドライン後のものですので、このガイドラインで示された基準に沿って審査が行われています。具体的には、ガイドラインで示されている判断フローチャートのStep 1, Step 2A prong one, Step 2A prong two, 及びStep 2Bの各判断ステップに基づく特許保護適格性の判断がなされています。Step 1については、本願がmethodを対象としていることから、Step 1の要件は満たし、Step 2Aに進みます。以下それぞれ説明します。

Step 2Aについての審査官の判断

Step 2AではProng One, Prong Twoの判断が行われます。Prong Oneではクレームが司法例外を記載している(the claim recites a judicial exception)か否かが判断されます。Prong Twoでは司法例外が実用的な応用に統合されている(the judicial exception is integrated into a practical application)か否かが判断されます。

拒絶に対する応答の概要

まとめ

この記事では、最近登録されたグーグル社のAI関連特許に対する拒絶・拒絶への対応を解説しました。今後の発明発掘、出願検討、中間処理等の実務に役立つ情報、ヒント、気づきが提供できましたら幸いです。ここまで読んで頂きありがとうございました。

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