claim数の超過料金(claim excess fee)の気をつけるべきポイントは?

米国実務

米国だとクレーム数によって出願手数料が変わるのは知ってるけど、何か気をつけるポイントがあるの?

この記事では、claim数の超過料金 について、基本的なポイントと、気をつけるべき2つのポイントを解説していきたいと思います。ずばりポイントは、①超過料金 の支払いタイミングと、②超過料金支払い後の取り扱いです。これらのポイントを押さえておけば、超過費用の無用な支払いを抑え、また支払った超過費用の有効活用まで考慮した対応ができます。

出願費用と超過費用の基本的なポイント

まずは米国の出願費用のおさらいですが、米国特許出願に必要な費用は$1820で内訳は以下の通りです。

  • 基本出願手数料:$320 (37 CFR 1.16(a))
  • 調査手数料: $700 (37 CFR 1.16(k))
  • 審査手数料: $800 (37 CFR 1.16(o))

また出願手数料は、クレーム数によっても変わります。具体的には以下の通り加算されます。

  • 独立クレームが3個を超える場合、超えた数の分のクレーム当たり$480 (37 CFR 1.16(i))
  • 総クレーム数が20個を超える場合、超えた数の分のクレーム当たり$100 (37 CFR 1.16(i))

なおPCT出願を米国に移行する場合は、若干異なる料金体系になります。日本からの出願の場合はPCT出願が多いので以下にまとめておきます。合計料金は$160分安価になり、$1660です。調査手数料が下がるためです。

  • 基本出願手数料:$320 (37 CRF 1.492(a))
  • 調査手数料: $540 (37 CFR 1.492(b)(3))
  • 審査手数料:$800 (37 CFR 1.492(c)(2))

独立クレーム、総クレーム数の超過料金は通常の米国特許出願と同様です。

なお調査手数料が減額になるのはPCTの国際段階におけるサーチレポートがUSPTOに提供された場合です。また日本の出願人の場合はレアケースですが、USTPOが国際調査機関(ISA)である場合にはさらに減額されます。

超過費用の支払いタイミング

超過費用が発生するのは、①出願時(出願時クレームがクレーム数を超過している場合)か、②補正によりクレーム数が超過した場合の2パターンです。①の場合、出願時に超過料金を支払うことになります。他方で②の場合は、補正書(Amendment)を提出する際に支払いが必要になります。

超過料金を支払わなかった場合はどうなるの?

もし超過料金の支払いをしない場合、補正が許可(enter)されません。つまり補正前の内容によって審査されることになります。(MPEP 607)

超過料金支払い後の取り扱い

超過料金を支払った後にさらにクレームを追加した場合、逆にクレームを削除した場合にはどうなるの?

超過料金支払い後の補正によりさらにクレームを追加した場合

この場合は超過した分の追加料金を追加的に支払う必要があります。例えば総クレーム数が22個で追加2個分クレーム超過料金($200)を支払った後、さらにクレームを1つ追加して総クレーム数が23個になった場合、さらなる追加1個分のクレーム超過費用($100)を支払う必要があります。

超過料金支払い後の補正により一部のクレームを削除した場合

この場合、総クレーム数は減少しますが、一度支払ったクレーム超過費用が戻ってくることはありません。例えば総クレーム数が22個で追加2個分クレーム超過料金($200)を支払った後、クレームを1つ削除して総クレーム数が21個になった場合でも、過去に支払った超過費用が戻ってくることはないです。もちろん、総クレーム数が増えていませんので、追加料金を追加的に支払う必要はありません。

超過料金支払い後の補正により一部のクレームを削除し、さらにクレームを追加した場合

この場合、総クレーム数が超過料金支払い時から増えてなければ、さらなる超過料金の支払いは不要です。例えばクレーム30個分(独立クレームが6個)の支払い後、クレームを10個削除(独立クレーム3つ削除)して新たにクレームを11個追加(独立クレームを4つ追加)の場合に、クレーム総数が31になり独立7個になるので、増えた分だけ(クレーム1個分と独立1個分)追加支払いをすることになります。(MPEP714.10 Claims Added in Excess of Claims Previously Paid For)

つまり、一度超過料金を支払えば、その分審査してもらえるクレーム数の枠が増える、ということになります。この枠の範囲内であれば、クレームを削除・追加することにより入れ替え可能になります。

これと同様に、基本料金の範囲内の補正であれば超過料金の支払いは発生しません。例えば追加したいクレームが1つあり、現状でクレーム数が20個である場合、現状のクレームを1つ削除すれば、削除して空いた1つの枠を使って、超過料金の支払い不要で、新たなクレームを追加することができます。

クレームを削除ではなくwithdrawした場合

ここで、クレームを削除(cancel)ではなくwithdrawした場合には注意が必要です。withdrawしたクレームは、削除したクレームとは異なり、総クレームのカウントに含まれます。したがって例えば出願時の総クレームが20クレームあり、10クレームをwithdrawして10クレームを追加した場合には、総クレーム数は30個とカウントされます。したがってこの場合、10クレーム超過分の超過料金の支払いが必要になります。

なおクレームをwithdrawする場合というのは、限定要求、選択要求時に、審査対象外のクレームを示すときです。この場合一般的にはクレームを削除せずにwithdrawします。withdrawとすることで、後々許可通知が出た際に、一定要件のもと、withdrawクレームを復活させる(rejoinder)ことができます。

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