米国特許出願で損をしないための「IDS完全ガイド」

米国実務

~知らなかったでは済まされない!情報開示義務と実務ポイント~

米国に特許出願をする際、「IDS(Information Disclosure Statement)」の扱いを間違えると、せっかくの特許が無効になる可能性すらあります。本記事では、実務に直結するポイントに絞って、米国特許実務で必須となるIDS制度の基本と最新実務を分かりやすく解説します。

IDSとは?なぜ重要なのか

IDSは、USPTO(米国特許商標庁)に対し、発明の特許性に影響する情報を開示する制度です。開示対象は、先行技術に限らず、特許性に関連しうるあらゆる情報(外国文献、非特許文献、公知事実など)を含みます。

開示を怠ると、「inequitable conduct(不公正行為)」と見なされ、特許が無効・執行不能になることがあります。
➡ 信頼される特許にするには、IDSの適切な提出が不可欠なのです。


開示対象となる主な情報

以下のような情報は、できる限り早期に開示するのが基本方針です。

  • 米国特許・出願公開公報(番号・日付・発明者名等)
  • 外国特許・出願(EPO/JP/CNなど)
  • 非特許文献(論文、Web、製品マニュアルなど)
  • 関連する審査資料(検索報告、OA、訴訟記録など)
  • 公知利用、販売事実、実験データなどの「その他情報」

「迷ったら開示」が基本スタンス。


いつ出すべき?タイミングによる手続の違い

提出時期要件コメント
出願後3ヶ月以内 or 初回のOA前手数料・証明不要ベストタイミング!
初回のOA後~最終OA前手数料 or 1.97(e)証明外国出願のOAを引用することが多い
最終OA後~発行料支払前手数料+1.97(e)証明両方必要実務上は注意が必要
発行料支払後原則提出不可RCEや再出願で対応

書類の準備と提出のコツ

フォームはPTO/SB/08(公式様式)を使うのが鉄則

  • 文献リスト:カテゴリごと(米国特許、外国特許、NPL)に整理
  • 出願情報:出願番号・発明者名・Art Unit等
  • 添付書類:外国特許・非特許文献はPDFで添付必須
  • 外国語文献:簡潔な英語要約 or 英訳が必要!

eIDS(電子入力)機能もあり、最近はPatent Centerでの提出が主流です。


⚠ 提出ミス・遅延のリスク

  • IDSが不適切な形式・タイミングだと、審査官は内容を考慮してくれません
  • 悪質な隠蔽と判断されると、「不公正行為」で特許全体が無効
  • 提出が遅れた場合でも、RCEや再出願でカバー可能なケースも

「あの文献、開示してなかった…」と気づいた時点で、すぐに専門家と相談を!


実務に効く!3つのTIPS

  1. 提出タイミングは“初回のOA前”が鉄則(余計な手数料・手間を防ぐ)
  2. 外国出願のOA・検索報告は、即IDS提出
  3. 翻訳がない外国文献は、簡潔な英語サマリで可

📝 まとめ

IDSは単なる「参考文献の提出」ではありません。米国特許制度における信頼と品質を支える仕組みです。
正しく、早く、漏れなく提出することが、将来の無効リスクを減らし、強い特許の土台となります。

出願人として「知らなかった」では済まされない世界。
IDS対応こそ、米国出願の“最初の品質管理”です。


🔗 参考リンク(実務者向け)


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