Agency Trends(米国のOAの傾向分析ツール)の使い方

米国実務

Agency Trendsって?

米国実務に携わっていると35USC 103(非自明性)に基づく拒絶は多く目にすると思います。また近年だとソフトウェア分野では35USC 101(特許保護適格性)に基づく拒絶もよく目にすると思います。各分野で同タイプの拒絶がどれほど多いのか、他のタイプ、分野と比較する方法をここでは説明したいと思います。

USPTOが公開しているOpen Data Portal beta (Agency Trends)

まず大半のOAは35USC 103すなわち非自明性の拒絶を含みます。具体的な割合は、審査部門(Art Unit)によって異なりますが、70~90%の割合で35USC 103の拒絶を含みます。(このため非自明性の拒絶にどう対処していくかが、米国実務の大きなポイントの一つです)

このような傾向はUSPTOのOpen Data Portal betaの Agency Trends: Rejections in Office Actions for Patent Applications(以下、Agency Trends)から取得できます。

Agency Trendsの使い方

Agency Trendsでは、Art Unitと期間との2つの項目を指定すれば、当該Art Unitの指定期間におけるOAの分析結果を得ることができます。これらの指定はページ上部にある以下にて指定します。デフォルトではAU 1615, 期間は2020年10月から2021年10月の1年間が入力されています。

  • Select technology center: 調べたいAU(又はTC, WG)を指定
  • Select time range: 調べたい期間を指定

このツールのアクセスするデータがそもそも2017/10/1~検索日から30日前の期間のデータのみのため、上記で設定するrangeはこの期間内にしておく点に注意です。指定後、Applyをクリックすると、以下のデータを得られます。

Number of rejections by month

この項目では、各拒絶タイプ(101, 102, 103, 112, その他)の月間総回数、各拒絶タイプの割合及びトレンド(上昇 or 下降)が示されます。このうち 各拒絶タイプの月間総回数については、csv形式による出力も可能です。

Rejections Relative Average

この項目では、各OAに、各拒絶タイプが少なくとも1つ含まれている割合が示されます。

どういうこと?

例えば1000個のOAがあり、そのうち500個のOAが少なくとも1つの103条の拒絶タイプを含む場合、50%となります。ここで、1つのOAには複数の103条拒絶を含む場合もあります(例えば、引例A+引例Bによる103条拒絶と、引例A+引例Cによる103条拒絶など、引例を異ならせた拒絶など)。この場合には、1度だけカウントされます。また1つのOAには、103条の拒絶以外の拒絶タイプを含むこともあります(103条による拒絶と112条による拒絶が同一OAに含まれる場合等)。この場合には、それぞれ1度カウントされます。

この項目は、あるOAを受けた場合にどの拒絶タイプが含まれているかの確率が示されている、とも言えます。

まとめ

このデータを使えば、所望の技術分野のOAの傾向を分析することができますので、分析結果に応じた対策も取りやすくなると思います。

コメント

タイトルとURLをコピーしました