審査官インタビューを行えるタイミングは?

米国実務

審査官インタビューっていつできるの?

審査官インタビューを行えるタイミングについての質問はよく聞きます。一定の条件はありますが審査係属中であれば基本的にいつでも審査官インタビューをすることができます。この記事では、インタビューについての規定の基本と、審査官インタビューを行う各典型的なタイミングでの条件等について説明したいと思います。

なお基本的にいつでもインタビューは行えるものの、庁手続期限のギリギリに審査官インタビューしても、インタビューを踏まえた応答の検討時間、作成時間が取りづらく、あまり効果的とは言えません。規則上は基本的にいつでも可能ですが、例えば以下に示すOA応答期間内に審査官インタビューを行う場合には、法定期限よりも十分前に審査官インタビューを実施するなど、十分に余裕を持ったスケジューリングを行うことが得策です。

またそもそもインタビューをしたほうがいいかどうかは、Patentbots等の審査官毎の統計データをチェックすることもオススメします。

審査官インタビューについての規定

審査官インタビューは、MPEP713 (https://www.uspto.gov/web/offices/pac/mpep/s713.html)と、37CFR 1.133とに規定されています。ここには審査官インタビューに関する各種規定・条件が記載されていますが、審査係属中であれば一定の制限はあるものの原則的にいつでも審査官インタビューを行うことができます。以下、典型的な各タイミングでのインタビューについてそれぞれ説明していきます。

なおMPEP713には、審査官インタビューにおけるベストプラクティスをまとめたpdfが示されています。このpdf中に審査官インタビューのコツがまとめられていますので、審査官インタビューに関わる場合には一度は目を通しておくことをオススメします。

審査官インタビューのタイミング①: non-Final OA応答期間内

実務上、審査官インタビューが一番行われるのはnon-Final OA応答期間内です。この期間中は後述する期間と比較して一切の制限がなく審査官インタビューができます。

また、このタイミングはnon-Final OAを受けた後のため、以下の観点で、最も好ましいタイミングでの審査官インタビューといえます。

  • 審査官が技術的に本願発明・引用発明を誤解している場合に早期に理解を正すことが可能
  • Final OAのタイミングと比較してインタビューで提示する補正の制限が緩く、幅広い選択肢を採り得る
  • Final OAのタイミングと比較してインタビュー後に取り得る措置も、幅広い選択肢を採り得る
  • 審査の早いタイミングでのインタビューの方が、審査が煮詰まった後よりも審査官との良好な関係を築き易い傾向がある

審査官インタビューのタイミング②: Final OA応答期間内

Final OA応答期間内にも審査官インタビューを行うことができます。なおFinal OA後にはインタビューを行う回数及び条件に関する制限がある点には注意が必要です。

具体的に審査官インタビューの回数・条件に関しては以下の通りです(MPEP713.09)。

  • Final OA後〜Notice of Appeal(審判請求)まで、通常1回のインタビューが認められる
  • (好ましくは書面にて)インタビュー前にインタビューの趣旨及び内容を簡潔に提示することが必要
  • 単なる過去の主張の繰り返しではないことが必要
  • 新たな限定事項の議論(新たなサーチ・詳細検討を必要とするもの)ではないことが必要

上述のようにFinal OAのタイミングではやや制限があるため、non-Final OAのときよりも一般的にはその効果が低下します。ただし審査官によってはインタビューをした方が査定率が上がるケースもあり、Final OAのときにもインタビューを試みるのは一案と思います。あるいは例えばallowable claimがありその一部の構成要件を組み込む補正をする場合に許可されるかどうかなど、許可されるギリギリのラインを見極めるような場合等にも、審査官インタビューが有効であると思います。

AFCP2.0の利用によるインタビュー

Final OA後のタイミングの場合には、AFCP2.0(After Final Consideration Pilot 2.0)という試行中のプログラム(パイロットプログラム)の利用も考えられます。このパイロットプログラムの中では審査官インタビューの実施が可能です(AFCP2.0の概要ページはhttps://www.uspto.gov/patents/initiatives/after-final-consideration-pilot-20)。このパイロットプログラムを利用するメリットとして、まず審査官に3時間の検討時間が与えられます。また補正も一定範囲で認められるため、出願人にはメリットがあるといえます。AFCP2.0はパイロットプログラムであるため現在は試行期間中ということになっていますが、2013年に開始されてからこれまで毎年1年ずつ延長されてきていて、ほぼ恒常的に使える制度といってもいいと思います。2021年も延長されたため2022/9/30まで利用可能です。なお上記のAFCP2.0の概要ページでは、本プログラムが延長するか否かが毎年9月頃にアナウンスされています。

AFCP2.0を利用する条件は以下の通りです。

  • 応答書の提出
  • 特定フォームにてAFCP2.0を申請(Form PTO/SB/434)
  • 独立クレームの減縮補正
  • AFCP2.0の利用料金は不要(※)

※AFCP2.0自体は無料で利用可能です。ただし延長費用等の支払いは必要です。例えばFinal OA発行から3ヶ月以降に応答し、そのタイミングでAFCP2.0を申請する場合には、延長費用の支払いが必要になります。

審査官インタビューのタイミング③: 1st Office Action前

1st OAの前のタイミング、つまり最初の審査結果が出る前のタイミングでのインタビューも可能です(MPEP 713.02 Interviews Prior to First Official Action)。継続出願の場合には基本的にこのタイミングでのインタビューが認められます。また、継続出願以外の出願の場合であっても、審査官が審査にとってインタビューが有益と考えれば認められます。

なお上記MPEP713.02には、このタイミングでのパイロットプログラム(Full First Action Interview Pilot Program)についても書かれています。しかしこのパイロットプログラムは2021年1月15日に試行期間が終了したため、現状ではパイロットプログラムは使用不可能です。パイロットプログラム終了のアナウンスは以下のページに記載されています。https://www.uspto.gov/patents/initiatives/first-action-interview/full-first-action-interview-pilot-program

まとめ

審査官インタビューは、一定の条件はありますが審査係属中であれば基本的にいつでも実施できます。この記事では、インタビューについての規定の基本と、審査官インタビューを行う各典型的なタイミングでの条件等について説明しました。ここまで読んで頂きありがとうございます。

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